新築やリフォームの打ち合わせで「窓は大きいほうが明るくて良いですよね」と言われることがあります。
たしかに、大きな窓は開放感を与え、光をたっぷり取り込めます。
近年は、逆に「窓が全然いらない」なんて言われることも多々あります。

でも、設計するものとしての私の答えは「窓は大きさだけでなく、配置も重要」です。

なぜなら、窓の位置は家の明るさ、風通し、プライバシー、そして心地よさまで左右するからです。

以前、あるお客様が吹抜けで南向きに大きな窓のプランを提案されたと、不安そうな顔をされていました。
「外から丸見えになりませんか? 夏は暑くないですか?」と。
ハウスメーカーの営業担当からは「カーテンを閉めれば大丈夫」と言われたらしいですが…
それでは明るさの意味が半減します。

そのお客様は私に直接相談され、私は窓の位置を調整し、視線が入らない高さに設定。さらに屋根庇(ひさし)で夏の日差しを遮り、冬の光は入るように工夫しました。
また、外の植栽の位置やフェンスなどを使って、空間に広がり効果をご提案。
完成後、「日中は照明なしで明るくて、外も気にならない」と喜んでいただけました。

窓の配置を考えるときは、以下のポイントが欠かせません。

  1. 光の取り入れ方
    • 南側は冬の光を取り入れる位置に。
    • 東側は朝日を、北側は安定した明るさを。
  2. 風通し
    • 窓は2か所設置すると風が抜けやすい。
    • 高窓+低窓の組み合わせや縦すべり窓で自然換気を強化。
  3. プライバシー
    • 隣家の窓や道路の位置を考慮。
    • 視線を遮りながら光を入れる「すべり窓」などの選択肢。

我が家のたまえとちよこも、窓の配置の恩恵をしっかり受けています。
特に、南東の窓から差し込む日差しの中で、2匹が並んでお昼寝。
冬場はそこが一番暖かい場所で、まるで「猫専用のサンルーム」です。
住む人間だけでなく、家族の一員であるペットにも心地よい配置は大事です。

まとめ

窓は「ただの穴」ではありません。
設計の工夫ひとつで、暮らしの質も、家の価値も、大きく変わります。
家づくりを考えるときは、ぜひ窓の配置にこだわってみてください。