「外出先から帰ってきた瞬間、ホッとする」
そんな気持ちを味わえる住まいは、何よりの贅沢です。

しかし、実際には「家にいるのに気が休まらない」「生活感ばかりが気になって落ち着かない」と感じる方も少なくありません。注文住宅やリフォームを考える際、多くのお客様が口にするのは「居心地の良さを大切にしたい」という言葉です。

では、“落ち着く家”にはどんな条件があるのでしょうか?建築士として3,000件以上の住まいに関わった経験、そして癒されている日常とは何か?猫の「たまえ」と「ちよこ」の状況を踏まえ、具体的な視点をお伝えします。


条件① 空間のバランス(明るさと陰影の調和)

居心地の良さを決めるのは、家具やインテリアだけではありません。
光と影のバランスが整った空間は、人を自然とリラックスさせます。

例えば、リビングに大きな窓を設けるだけでなく、間接照明やスタンドライトを併用することで「柔らかい影」が生まれます。その影が、落ち着きを演出するのです。

我が家でも、たまえがソファの下で丸くなるのは、ちょうど外の光がほんのり届く場所。人間だけでなく動物も、安心できる「光の質」を求めているのかもしれません。


条件② 動線のストレスがないこと

家事や生活の動線が複雑だと、暮らしの中に無意識のストレスが積み重なります。
「洗濯機から干す場所まで遠い」「玄関からキッチンが遠い」など、毎日の小さな不便が「落ち着かない家」をつくるのです。

以前、福岡でご相談いただいたお客様のケースでは、玄関から通り土間で、そのままキッチンへ行ける動線を提案しました。買い物帰りに荷物をすぐ置けることで「生活の負担が半分になった」と喜ばれています。

動線が整理されると「家が味方になってくれる感覚」が生まれ、自然と居心地も増していきます。


条件③ “余白”があること

落ち着く家には、必ず「余白」があります。

家具や収納を詰め込みすぎると、便利に見えて実は「圧迫感」によって心が休まりません。余白のある空間は呼吸ができ、家族のライフスタイルの変化にも柔軟に対応できます。

我が家では、猫たちが気ままに走り回れる「余白スペース」をあえて残しています。忙しい日でも、たまえとちよこが追いかけっこする姿を見ると「この空間を残しておいてよかった」と感じます。住まいは、家族と同じようにペットも一緒に暮らす大切な仲間を包み込む器なのです。


条件④ 住む人の「価値観」が反映されていること

雑誌やSNSで見かけた素敵な家をそのまま真似しても、必ずしも「落ち着く家」にはなりません。大切なのは、自分や家族が何を心地よいと感じるかを知り、その価値観を空間に反映することです。

「本を読むのが好きだから、窓際に読書コーナーをつくる」
「料理を家族と楽しみたいから、キッチン周りを充実させる」
こうした価値観を尊重することで、住まいは単なる箱ではなく“心の居場所”になります。


まとめ

「我が家が一番落ち着く」と思える条件は、光のバランス・動線のスムーズさ・余白・そして自分らしい価値観の反映。この4つが揃うことで、家はようやく「住まい」になります。

建築士として感じるのは、落ち着く家には必ず「家族の笑顔」があるということ。そしてその笑顔を引き出すために、設計や風水の知恵が生きてきます。

今日も、猫のたまえとちよこが窓辺で丸くなりながら「ここが一番だよ」と言わんばかりにくつろいでいます。あなたにとっての「ここが一番」を見つけるお手伝いができれば幸いです。

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👤 プロフィール

日吉一幸(一級建築士/モノコトデザイン株式会社 代表取締役)
3000件以上の家づくりに携わり、著書『3000人の家を建てて気づいた本当に「良い家」の建て方』を執筆。
「暮らしやすさ」と「心地よいデザイン」を両立させる設計を大切にしています。
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