家づくりの相談を受けていると、多くのお施主様が最初に口にするのは「できるだけ広くしたい」という言葉です。
リビングは20畳以上、寝室も広めに、収納もたっぷり……。気持ちはよくわかります。けれど、建築士として正直にお伝えすると「広さ=住みやすさ」ではありません。むしろ、広さを優先した結果、暮らしにくくなってしまう家をこれまで何度も見てきました。
広さを優先して失敗した事例
あるご夫婦は「大きな家を建てたい」とのご希望で、予算をできる限り建物面積にあてました。結果、確かにリビングは30畳以上の広さになりましたが、冷暖房効率が悪く、冬は寒く夏は暑い。さらに家具が点在し、家族が落ち着いて過ごせる“居場所”が見つからない。結局「広いのに居心地が悪い」と後悔されていました。
逆に、コンパクトながらも動線を工夫したお住まいでは「毎日の家事が驚くほどラクになった」「家族の気配を感じられて落ち着く」と喜ばれています。広さより、配置や光の取り入れ方が暮らしを大きく左右するのです。
建築士の視点から大切にしていること
私が設計で一番意識しているのは「家族がどう暮らすか」という視点です。
・朝の身支度で家族がすれ違う場所はどこか
・帰宅して靴を脱ぎ、荷物を置き、手を洗うまでの流れはどうか
・休日にリビングで過ごすとき、光や風がどう入るか
これらを丁寧に整理していくと、不思議と「必要な広さ」が自然に決まってきます。大切なのは坪数ではなく「居心地の良い居場所」をつくること。
建築士の本音
正直に言えば、良い建築士と信頼関係を築ければ「広さ」や「仕様」ばかりを施主が心配する必要はありません。あなたが「どんな暮らしをしたいか」をしっかり伝えていただければ、建築士は必ずそれを形にしてくれます。
「広さ」にとらわれすぎると、家づくりは迷走します。けれど「暮らし方」を共有できれば、家は自然とあなたに合った形になります。
まとめ
広さは数字で測れますが、居心地や幸福感は数字では表せません。
家づくりで本当に大切なのは「どんな暮らしを実現したいか」を言葉にし、それを理解してくれる建築士と出会うことです。
📌 福岡で注文住宅をお考えの方へ
私は「モノコトデザイン」として、図面作成から住宅設計、風水を取り入れた住まい提案まで行っています。
3棟限定の設計だからこそ、一組一組にじっくり向き合うことができます。