最近、家づくりの世界でよく耳にする言葉に「施主力(せしゅりょく)」があります。
「自分で勉強して、要望を整理して、主体的に家づくりを進める力」…という意味で使われることが多いのですが、私は建築士として本音を言うと、本当はそんなもの必要ないと思っています。

では、なぜ「施主力」という言葉が広まってしまったのでしょうか。
そして、本当に必要なものは何なのか。3,000件以上の住まいを見てきた立場からお話しします。


施主力が必要だと言われる理由

ハウスメーカーや工務店で家を建てた方の中には、「こちらがしっかり知識を持っていないと流されてしまう」と感じた経験を持つ方もいます。営業マンとの打ち合わせでは、表面的な要望や仕様の話が中心になりがちで、暮らし方や将来の家族像までは踏み込んでもらえないこともあります。

その結果、住んでみると「なんだか使いづらい」「想像していた暮らしと違う」という後悔につながる。だからこそ「施主自身が強くならないといけない」という考え方が生まれてきたのです。


建築士から見た本音

でも、本当に大切なのは「施主が建築の知識を身につけること」ではありません。
必要なのは、信頼できる建築士と出会い、しっかり想いを伝えることです。

  • どんな毎日を過ごしたいのか
  • 家族でどんな時間を大切にしたいのか
  • 将来どう暮らしていたいのか

この「未来の暮らしのイメージ」を共有できれば、専門的な図面や仕様は建築士が責任を持って形にしていきます。


本当に必要な力とは?

私が思うに、施主に必要なのは「伝える力」だけです。
「マイホームが完成したあとの幸せな暮らしを想像して、それを建築士に語る」
これさえできれば、施主力という言葉に振り回される必要はありません。

例えば、あるご家族は「週末に友人を呼んでホームパーティーを楽しみたい」という思いを伝えてくれました。その一言から、私は動線計画・照明計画・収納まで具体的に設計を膨らませることができました。専門知識は不要で、ただ“やりたい暮らし”を語ってくれただけです。


良い住まいを実現した方に共通すること

これまで本当に満足度の高い家を建てられた方は、例外なく「良い建築士に出会っている」方です。
情報収集に時間をかけたり、図面を一生懸命読み解いたりするよりも、信頼できる相手と巡り会えるかどうかが何より大切。

だからこそ、家づくりを始めるときには「どの会社で建てるか」だけでなく、「どの建築士と進めるか」に注目してほしいのです。


まとめ

「施主力が必要」と言われる背景には、営業マン主導の家づくりで満たされなかった人たちの経験があります。
けれど本当に必要なのは、建築知識を身につけることではなく、未来の暮らしを言葉にして、良い建築士と信頼関係を築くことです。

もしあなたが「良い家を建てたい」と思うなら、まずは自分の夢や希望を言葉にしてみてください。そして、それを受け止めて形にしてくれる建築士に出会えたとき、施主力という言葉はもう必要なくなります。

家づくりには、莫大な時間と知識を要します。一夜漬けで簡単にできるものではありません。良い建築士は、たくさんの知識と引出があります。施主力を磨くのもよいかもしれませんが、それより「建築士」と一緒につくることも考えてみませんか。

📩 家づくりのご相談はこちら

「注文住宅を考えているけれど、何から始めたらいいの?」
「間取りや土地選びの段階から建築士に相談したい」
そんな方はお気軽にご連絡ください。

👉 [無料相談を申し込む]