「立って半畳 寝て一畳」と言う言葉があります。

人の最低必要なスペースはこれぐらいなんだよ。と解釈できます。

そして、実はこの後に続く、「・・・天下とっても二合半」と言う言葉があります。
これは「天下とっても=必要以上のものやスペースを手に入れる力」があっても、
必要以上に欲しがって手に入れても結局使えるスペースは限りがあるのだから欲を出すな。
と言う意味に取れます。

昨今、家の打ち合わせをしていると、
「部屋の広さや部屋数、設備の充実」が最初に話題に上ります。

「一人暮らしには一人暮らし」の「夫婦二人暮らしには二人暮らし」の生活の仕方があります。
豊かさにスペース(広さ)は必要ないのです。

しかし、私は流行の「ミニマリスト」を目指すわけではありません。
ミニマリストはミニマリストで突き詰めすぎると味気ないのではないだろうかと思っています。

持たないシンプルな暮らしといって、殺風景で無機質な空間にすることは、
私の考える「やすらぎを求める場所」とは違います。

家族の暮らしに必要な大きさで必要な分のモノを持ち、人として豊かな暮らしができればよいのではないでしょうか?
そう、家族の「足るを知ること」がまず必要であると。

無駄に大きなスペースを作るために大金を払って、家族サービスや趣味ができなくなる暮らしに何が残るのでしょうか?
建築を仕事にするものとして、無駄になった大きな住宅(廃墟)が残るのだけは勘弁してもらいたいのです。