住宅地を訪れてみると、
色々なデザインの家がバラバラ建って少し雑然として見える住宅地と、
何となく全体が綺麗にまとまって垢抜けて見える住宅地とがありますが、
住宅地によってなぜ違いがあるのでしょうか?
最近の住宅地(団地)では、
建築協定や地区計画などの協定が作られているところが多いのです。
協定とは、外壁の色や壁面後退(家までの距離)、
緑化の量などの住宅街をつくる上でのルールを定めたものです。
協定のある団地は、土地の資産価値を上げる為に
ある程度厳しい決まり事を作っています。
私自身も今までに団地の最初の計画自体から関わったり、
団地の中で建物を建てたりすることもありましたが、
色々なお話を耳にします。
「団地で一番目立つオシャレな建物にしてほしい」
このようなご要望を受けたこともありますが、
後者のような協定のある団地のルールの上では少し矛盾したご要望ですよね。
様々な考え方があるとは思いますが、
私自身は、周囲の環境に自然に溶け込む住宅というのが理想です。
「溶け込む」と言うとなんだか普通の家で目立たない感じがしますが、
周りの空間さえも取り込むものが本当のオシャレな住宅と考えます。
具体的には、近隣の樹木を取り込む(借景の利用)
光や風が街並みを包むように配慮する、
外観に自然の色を採り入れる、自然素材を使う・・・など。
周りの自然環境をうまく取り入れた、
洗練された団地作りは海外の方が上手だと思います。
設計していると「責任」を感じます。
ひとつの街の中に、形として住宅は残ります。
それは街並みを壊さず、良い空間を次世代につなげていく。
設計とはそういった責任があると思います。
設計士がこの辺を理解して、
住み手の方と共感し住宅を作っていくと
素晴らしい街並みと住宅ができていくと思います。