「この家、なんだか気持ちいいね」
そんな言葉をいただけると、私は一級建築士として本当に嬉しくなります。
でも、「気持ちいい家」って…なんでしょう?
高級な素材?広い空間?便利な設備?
実はそのどれよりも大切なのが、“感覚の心地よさ”です。
心地よさは「見た目」より「その場の気配」から生まれる
動線の良さ、採光、風通し…。
もちろんそれらは、生活する上で大事ですが、それだけでは“気持ちよさ”は生まれません。
たとえば、
- 朝起きたときに自然と光が入ってくる
- 家の中に「静かさ」や「抜け感」がある
- ダイニングの椅子に座ったとき、安心する距離感がある
これは、図面では表現しきれない「気配」のようなものです。
紙の上だけで考えていては絶対わからないことです。
一級建築士として大切にしていること
私は設計のとき、必ず「住まう人の1日」をイメージします。
- 朝の動き
- 昼の気配
- 夜のくつろぎ
- 休日の過ごし方
- そこに住む人のつながり
そこから、光の入り方、風の抜け方、音の響き方を考えます。
そうすることで、毎日の暮らしが“自然と整う家”になります。
暮らしに“余白”をつくる
最近は、SNSや雑誌で“映える空間”がたくさん出ていますが、
本当に気持ちいい家には「空白」や「余白」があるものです。
写真からでは感じられない、その場の空気が必ずあります。
たとえば…
- 天井の高さやドアの高さなどの高さからくる感覚
- 視線が抜けるなどの視覚的な感覚
- つめ詰めの空間でない間抜けではない空間の余白
そうした“呼吸できる空間”が、心と身体をほっとさせてくれます。
これらは、設計を突き詰めて経験していくことで生まれる感覚です。
さいごに
設計の仕事をしていると、「良い間取りってありますか?」とよく聞かれます。
暮らし方は十人十色。正解は“その人にとって、そこにずっといたくなる、気持ちいい空間のこと”だと思っています。
だからこそ私は、間取りだけでなく、「暮らしの質」を設計する建築士でありたいと思っています。