住宅(居室)の天井高は、建築基準法で2.1m以上と決められています。

この高さは床面から測り、ひとつの部屋で天井の高さが部分的に異なる場合には、
その平均の高さによるものと規定されています。
一般的には2.4~2.5m程度が多いようです。

では、
「天井は高ければ高いほうが良いのでしょうか?」

答えはNOです。


最近は、天井が高いほど高級感が味わえるということから、
「天井を高くしたい」という要望をよく耳にします。


実際には、視覚的高級感というより、
材料代が上がる分高級になるというだけのように感じます。

感覚的なものもありますが、和室や寝室といった空間では
天井があまり高いのも考えようです。

ダイニングスペースや玄関ホールの天井高さを
高くすることはいい事だと思いますが。

ダイニングは高くて、和室は低い。
その違いを申しますと、目線と生活空間の高さ関係にあります。
ダイニングは、テーブルがありイスに腰掛けるため、
生活する目線が高くなります。
一方、和室は、床に腰を下ろして生活します。この違いがあります。
同様に、玄関ホールは通過道線(立って動く)であり、目線は高くなり
寝室については、寝ころがる為、生活空間は低くなります。



つまり、生活のシーンによって適切な天井高があると私は思います。


住宅展示場で天井高が高いと良く見えるのは
展示場では常に歩いて見て回るため目線の高さが高いからです。
そのため、部屋が大きく感じます。

高級感があると感じるのは、普段目にしている天井高さより高い為
解放感を感じているからだと思います。


実際に、生活空間で天井が高い和室や寝室で寝ると違和感を感じると思います。

バリなどのリゾート地では、ベットに天蓋がついていると思います。
(ベットの上に布がかかった状態)
これは、天井高さを緩和させる効果があると思います。

寝室は天井高を抑えることで、天蓋のようにやわらかく包まれた空間を作り出すことができます。

天井を下げることによって、コストダウンも図れます。
また、ダイニングスペースは吹抜けを設け、空間を広く感じるようにすると良いと思います。



このようにシーンに応じて天井高を変えると効果的です。
何もかもセオリー通りではなく、人間の視覚を応用した設計を取り込むことで、
狭くても広く感じたり、心地よく感じたりします。

高さ一つの事ですがこれがかなり重要な部分だと思っております。