冬暖かい家を作るために HEAT20(G2・G3)レベルを目指す

家の中で夏涼しく、冬暖かくするためには、断熱性能や気密施工、省エネ効果をどう考えるかが重要です。
(魔法瓶をイメージして頂くとわかりやすいです)

断熱性能を評価する目安には断熱等級(断熱等性能等級)を始めH28年省エネ基準、ZEH基準、HEAT20と複数ありそれぞれで断熱性を表す数値(UA値)が異なります。
【UA値(外皮平均熱貫流率)は、外気に触れる壁や屋根、窓から、住宅の室内の熱がどのくらい外へ逃げやすいかを示す数値です。 UA値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能の高い住宅(高断熱住宅)であることが分かります。 Ua値が大きいということは、熱が逃げやすく断熱性能が低い住宅(省エネ効果が低い住宅)になります】

高断熱住宅は(UA値が小さい)いくつかのメリットがあります
①夏も冬も各部屋の温度が一定で快適に過ごせる
②ヒートショックや熱中症、風邪などのリスクが減るため健康に過ごせる
③光熱費が安くなる
④結露やカビの発生が少なくなる
家を建ててからの健康や家計のことを考えると、高断熱住宅を作ることが快適に長く住み続ける住まいには大切です。

日本の断熱水準は?

日本の住宅性能を示す際、H28年省エネ基準、ZEH基準を取り入れている工務店が多いです。
2023年時点で省エネ基準の基本となるのは、国土交通省が定めた、2016年(平成28年)に制定された通称「H28省エネ基準」です。
2021年4月から開始された省エネ基準の「説明義務化」により、
建築士は建築主に対して、住宅が省エネ基準を満たしているかどうかを説明が必要になりました。
また、2025年に開始される省エネ基準の「適合義務化」では、現行のH28省エネ基準のレベルが義務化される予定です。
こちらの「H28省エネ基準のレベル」が日本で現行推奨される断熱レベルになります。

省エネを表す日本の法律に「品確法・住宅性能表示制度」があり省エネに関する2つの項目が、「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」があります。
その中の断熱等性能等級4が、H28省エネ基準と同等レベルとなります。
断熱性能等級の表示としては、ZEHレベルの断熱等性能等級5(長期優良住宅も等級5が必須)、2022年10月以降はさらに上位の等級6、等級7が制定されています

HEAT20とは?

HEAT20」とは、2009年に発足した一般社団法人「20年後を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称です。
G1・G2・G3という3つの等級に分けられて、それぞれ断熱等性能等級と同様にUAの基準値を定めています。
※民間の研究組織でありますが、地球温暖化対策のために発足した社団法人の為、国が定める省エネ基準値よりも厳しい基準を示しております
※一番下のG1グレードでも、「H28省エネ基準」や「ZEH基準」より高いレベルです。
上記断熱等性能等級で表すと「G2:断熱等性能等級6」「G3:断熱等性能等級7」がと同じ基準値となっています。

断熱性能は、北海道のような寒冷地域と九州・沖縄のような温暖地域があるため、各地域の気候に応じた断熱性能を考える必要があります。

住宅における室内温度

快適に過ごすためには、できるだけ室内の温度は均等が良いです。
部屋ごとの温度差が原因で、ヒートショックや熱中症発生、カビの発生など、健康面での影響は大きくなります。
壁や窓などの表面温度と室内温度の違いにより同じ室内温度20°でも体感温度は変わってきます。
体感温度は、室内温度と表面温度の差で感じるものです。

HEAT20では、NEBで室温を指標とし、住宅内や室内の温度むらを小さくし、温度ストレスの低減によりグレードごとに設定があります。暖房期最低室温は10~16°を下回らない範囲(H28省エネ基準で概ね8℃を下回らない)
住宅内で15℃未満となる時間・面積がどれくらいあるかを示した割合は、15~2未満と大幅に小さくなります。(H28省エネ基準で30%程度)
HEAT20のグレードを目指すことで、快適な空間実現に近づきます。

モノコトデザインが目指す 「夏は涼しく冬は暖かく」

断熱性能を上げれば、快適になるわけではありません。
断熱性+パッシブな計画を入れることで豊かさを感じます。
パッシブな計画とは、自然の力を利用する計画。
夏の日差しをカットする方法は、窓や断熱の性能を上げるだけではありません。軒を深くすることも夏の対策になります。
ひと昔前は、打ち水(朝の涼し時間に水をまく)をしていたように、周辺温度を下げるなどの機械に頼らず、様々な方法で夏の暑さ対策を行ってきました。
夏の暑さ対策には、落葉樹などを日差し側に植える方法やブラインドを設置するなどの方法もあります。
「24時間換気設備があるから換気は必要ない」という方もいらっしゃいますが、長寿命な家を作るためには、換気は重要です。
木材は生きています。湿気を吸放出します。そのためには、風の通り道をしっかりと考えることも重要です。
冬の寒さ対策としては、太陽光を意識した窓の配置や蓄熱などを利用する方法などもあります。
近年は、夏の暑さだけでなく冬の寒さ対策も重要になっています。九州だから大丈夫というわけにはいきません。
ただ、これらを機械だけに頼っていると長寿命な住宅にはならず、メンテナンスコストのUPに繋がります。
そのために、重要なのがパッシブな設計計画との融合です。
このパッシブな設計は、プラン集などのありきたりな設計では難しく、土地を読む設計力が必要になります。
これらを念頭にいれて設計力+断熱性で「夏は涼しく冬は暖かく」を実現します。