長年住宅の設計を行なってきましたが、様々な葛藤があります。

住宅に限ったことでは無いのですが、プランや仕様を決める際、なぜその道のプロの話に耳を傾けない方が多いのでしょうか・・・「プロ」とは対価を得て仕事をすることです。

どんなに素晴らしい図面が書けても対価が発生しないものは、プロの仕事ではありません。

では、「プロフェッショナルとは?」

プロフェッショナルとは、「専門職」を指すと思います。
その事にどれだけの時間を費やしてきたか。それがプロフェッショナルです。

住宅の設計を行なっていると、四六時中、建築のことが頭をよぎります。
設計依頼があれば、そのことばかり考えているし、テレビを見ればドラマや映画ですらインテリアや建物など他のところに気を取られます。
そうやってたくさんの時間を専門のことに費やして、「何がベストなのか?」「今より更に良くすることはできないのか?」「時代の流れによって、新しいことがあるのではないか?」
これらを常に考えて生きている方がプロフェッショナルなのではないでしょうか?

自分の家だから「私の意見が一番」と言う施主がいます。
あなた以上に「住宅の設計」に関わって、あなた以上に「住まいについて」考えています。
医者にも同じことを言い切れますか?「私の体だから私が考えた治療で治す!」
そう言い切れるのであれば構いません。
誰から聞いたのかも分からない意見を一方的に押し付けてくる施主は、「話だけを聞いてくれる」御用聞きの建築家に頼めばよいと思います。
私はプロフェッショナルでありたい。住まいをつくる事は簡単なことでは無いのです。

もちろん、施主からは「本質的な要望」は聞きます。
理想の住まいを一緒に共有するためです。
ですが「私の意見」を押し通す施主の想いは共有できませんし、私はつくりたいとは思いません。
「家は一人でつくるものでは無いからです。」