建築士って家の設計する時、どんなところに注目しているのだろう?
私たちが見てる視点と何が違うのだろう?
そんな疑問を感じたことはありますか?
ほとんどの方が、土地を見る時、「日当たりがいいかな」「敷地の形はどうかな」「車止められるかな」
なんてところに注目すると思います。
では、建築士は、土地をどんな視点でみているのでしょうか?
この記事でわかること
- 土地を見る際にチェックすること
- ちゃんとした設計士が間取りを作る時の着眼点
土地を見る時にチェックすること
まずは、土地の特性を調べに行きます
・土地と道路の関係性
・土地の形と高低差
・給水、排水、電気の状況(インフラ)
・敷地の内外のブロックや擁壁の状況
他にもたくさんありますが、絶対に確認する項目です。
土地と道路の関係性
建物を建てる時には、基本的には道路に接していないと建築ができません。
まずは、大前提として、道路が敷地に接しているのかを確認します。
敷地に接していることを「接道」といって、道路には、基本的には2mは接していないといけません。
また「道路」というのが、くせもので普段目にしている道路とは違います。
道路には、「道路法の道路」と「建築基準法上の道路」の2種類があります。
道路法の道路は、簡単。
皆さんが普段見ている道路です。
車が通る道路ですね。
そして、家を建てる上で重要な「建築基準法上の道路」は、県や市町村が認定している道路になります。
わかりにくいですよね・・・
認定道路になるには、基本的には道路の幅(幅員)は4mないと「基準法上の道路」として認められていません。
現地では、道路については、道路の状況と幅を見に行っているのです。
この後、役所(市役所や土木事務所)に行って再度調べてきます。
※これを道路の役調(役所調査)といっています。
土地と道路の関係は、
・接道が取れているか
・幅は4mあるか
・認定道路になっているか
が重要になるのです。
土地の形と高低差
建物を建てる時に、建物を宙に浮かせるわけにはいきません。
土地の上に建てるためには、敷地の各高さを調べて、どの高さに建物を建てるかを調査する必要があります。
そこでまずは、どこまでが自分の敷地(計画できる範囲)かを確認します。
これは、字図という公的書類と現地の境界ピン(杭)などを照らし合わせながら形、敷地の周長(長さ)を確認します。
敷地の形状がわかったら、各土地の高さ(高低差)も見ていきます。
敷地は道路からのアプローチになるため、道路の高低差(道路の高さ)から敷地の各箇所の高さ、隣の敷地(隣地)との高低差とそれぞれの高さ、各境界からの距離を測っていきます。※これを敷地測量といいます。
土地の高低差は、建物を建てる高さや擁壁の計画の有無など知る上で、重要な要素になります。
これを疎かにすると、あとから、基礎の高さの変更(深基礎・高基礎)や追加でブロックを計画したりと、金額UPにつながります。
給水、排水、電気の状況(インフラ)
人が生活する上で、電気・水は重要なものになります。
土地を見る時、まずこのインフラ状況を確認します。
・水が敷地にきているのか、どこまで水がきているのか、井戸水を使うのか
・電気は引き込めるのか ※近くの電柱の状況を見ています
・排水はどのような状況か ※下水がきているのか、浄化槽が必要か、雨水はどこに流せばよいか
・ガスが必要な場合はガスがきているか ※都市ガスかプロパン(ボンベ)、集中プロパンか
なんてことを調査します。
まず、水や下水については、基本的には道路から引き込みます。そして、雨水や下水も道路に排水することが多いです。
これらを新規で計画する際には、水道の引き込み・下水の取り込み・ガスの引き込みなど、追加で金額がUPします。
よく「土地が安い!!」といって購入したが、給水も排水もないために引き込み費用が発生して、結果追加で100万円以上かかりました。なんてこともありよくありますので、事前の調査が建物の総予算を決める上でも重要な項目になります。
特に給水・排水計画は、キッチンやお風呂など水廻りの位置により、敷地の中でも長さの増減があるため、引き込み位置なども調査する必要があります。
また、しっかり調査していないと、排水が流れないなど、間取りにも大きな影響を与えることになります。
敷地の内外のブロックや擁壁の状況
現地調査で、見ているようで見ていないのがこのブロックなどの工作物です。
神戸でブロックが倒れて、子供が亡くなる事故がありました。
そのような悲しい事故から、各行政では、コンクリートブロックや擁壁(ようへき)の調査状況・規定の強化を行ってきました。
各市町村によって、ブロック(CB)の規定は違いがありますが、建築基準法とは別に決まりを設けている市町村は多々あります。
古いブロックや擁壁は、市町村の決まりによっては、新規でやりかえになることもあるのでおろそかにはできません。
まず、現地調査では、ブロックや擁壁の状況を確認します。
ブロックや擁壁が自分の敷地の所有か隣地の所有か
ブロックの厚みはいくつで高さは規定の範囲内か
ブロックや擁壁が壊れたり、ヒビが入ったりしていないだろうか
ブロックや擁壁のやりかえは金額UPに直結することと、間取りを作る際も重要な要素のひとつになります。
意外に敷地を見ない設計士はここを見落とし、後から金額UPになるなんてことは、多々あります。
土地を見る時に失敗しないために
上記のような理由から、間取りを作る前には、敷地をしっかりと調査できる人に相談が必要です。
では敷地がしっかり調査できた後に、本当にオンリーワンの間取りを作るためには、ちゃんと敷地を理解した設計士はどんなところに着眼しているでしょうか
ちゃんとした設計士が間取りを作る時の着眼点
土地は同じものがありません。
ということは、プラン集なんてものは本当は、当てはまらないということです。
ちゃんと敷地をみて作る、建築家はオンリーワンの建物と間取りを計画します。
その際に見ていることの一部をお伝えします。
※敷地によって変わるのでホンの一部ですよ。
・敷地のロケーション
・敷地のメリット、デメリット
・あなたの家のコンセプト
敷地のロケーション・敷地のメリット、デメリット
間取りばかり眺めていると、敷地に適したものにはなりません。
敷地に立つと、隣地の状況(窓や形、視線や音など)が見えてきます。
同じように、敷地にあたる光・風の抜けなど様々な要素を感じられます。
どの位置にどのような部屋が良いか、どのような建物の形がよいか、、、
もちろん現状だけでなく、将来周りの状況も予測します。
近隣に将来どんな建物が建ちそうか、現状の建物が建て替える可能性なども予想します。
敷地のロケーションはその家の間取りを決める要素の一つになります。
きれいな桜並木や海や山、そういった良いロケーションを取り込むメリット。
逆に隣地から視線が気になる、光が入らない、隣地に見たくないものがある、などのデメリット。
このようなメリット・デメリットを生かしたりメリットに変える。
その為には、土地を読む設計が必要です。
紙の上で、間取りをずっと眺めていてもできるものではありません。
あなたの家のコンセプト
家を作る時、あなたの「要望」が重要なカギを握ります。
敷地のロケーションやメリット・デメリットを理解したうえで、あなたの要望がどのように生かしていけるかを敷地との関係性と意図を見つめていきます。
なぜ、そのように考えたのか
その理由とカギを形にするのがちゃんとした建築家です。
まとめ
土地を見る際は、たくさんチェックすることがあります。
全てを自分で見るのは大変なことです。
設計事務所の建築家は「このようなことを考えて設計は行われている」と理解して頂けると、今後の家探しのパートナー探しが楽になり、良い家ができると思います。
注文住宅を建てる際に、設計事務所はあなたの立場に立って考えてくれる唯一の存在です。
ハウスメーカーや工務店は会社で利益を出すことが最優先になるので、土地の調査や間取りをつくる際も、純粋な気持ちであなたの立場に立ってアドバイスをすることは少ないと思います。
「敷地を読む」ことは、経験と時間がかかります。同じ敷地はないからです。
この調査を工務店やハウスメーカーの設計者が行っていると、時間がかかりいつまでも着工ができず数をこなせません。
着工棟数が多いということは、それだけ時間を短縮する必要があるということです。
つまり、一人のお施主様に時間がかけられないと言うことになります。
その結果が、「プラン集」や「標準仕様」になるのです。
注文住宅を建てることは、初めてという方が多く、「家づくり」をしっかりと勉強しないと工務店のいいなりになり、失敗してしまい、後悔することになります。
「満足!!」といっている人は、本当の家づくりを知らないことで「満足」と感じているかもしれません。
後悔しないためには、プロの意見をしっかりと言ってくれる設計事務所を見つけて、理想の暮らしを手に入れてください。
この記事が少しでも役に立って、設計事務所に相談してみようと思う方が増えると幸いです。
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